平成28年9月29日、鹿児島県精神科病院協会院長等研修会学術講演会があり、
奈良県立医科大学 岸本 年史 教授 の「自閉スペクトラム症研究 up to date」を聴講してきました。
“自閉スペクトラム症”はなかなか聞き慣れない言葉かもしれませんが、40年前には5000人に1人の割合で発症すると言われ、近年では110人に1人の割合で発症すると言われており、身近な障害となってきました。
その講演の中で大変興味深い話を聞くことが出来たので、皆さんに紹介したいと思います。
最近の研究で、腸内環境は人体に大きな影響を与えることが分かってきていますが、その働きは脳の機能とも密接な関係にあると言われています。
腸内環境を整えることが脳の活性化に繋がるということです。
実際に、健常者の腸内細菌叢と自閉スペクトラム症患者の腸内細菌叢は異なり、腸内細菌叢の組成は精神に多大な影響を与えると言われています。腸内細菌叢は人間の免疫力にも影響し、バランスのとれた腸内細菌叢だと病気をしにくい体になるということです。
まだまだ研究段階のお話ですが、皆さんも日頃からヨーグルト等の乳酸菌を摂取し、腸内環境を整え、病気をしにくい体作りを意識してみましょう。食物繊維やオリゴ糖と一緒に摂取すると吸収率がアップするそうですよ。納豆の摂取もおすすめです。
そしてもう一つ、一般的に「幸せホルモン」と呼ばれているオキシトシンの分泌を活性化することは、ストレス緩和だけではなく、養育行動や社会性が改善されることにも繋がり、胎生期に大きな影響を与えているんだそうです。
オキシトシンは脳と心の疲れを癒し、満たされた気持ちになるため、どんどん分泌を促してあげたいですね。
オキシトシンの分泌を促すためには、夫婦や家族、動物とのふれあい、人に親切にすること、自分の気持ちを素直に表現すること等で高めることが出来ます。
これらのことを意識し、自分や周囲の人に幸せホルモンの分泌をぜひ促してあげて下さい。
話が逸れてしまいましたが、このように社会の関心が高まっていくにつれ、当院近辺にも発達障害の児童が利用できる施設が増えてきています。
このような社会な動きの中で、今まで支援を受ける機会に恵まれなかった発達障害を抱えるお子さん達も、より専門的な支援を受けられるようになっていければと願っています。
今回は、社会全体での取り組みが大切なのだと感じられるような貴重な研修でした。
それには地域の皆さんの協力や医療の包括的な支援が大切になってくるんですね。
研修会に参加してきました
2016年10月22日